1.今の日本をどうとらえるか

 政治主導やマニフェストによる政策実現、大いに期待したいところである。これからの日本の行方を考えた場合、まさに政治が強力に主導して、ことに当たらないとどうにもならない状況に陥ることになりはしないか。

 現政権が実現を目指しているマニフェストについて内政面で見ると少子化対策の子ども手当や食料自給対策の農家戸別所得補償制度のようにその趣旨は理解できるが、財源の裏づけもなく、ただお金を与えることで本質的な解決ができるのか疑問に感じる。

 外交面では、在日米軍普天間基地移設問題を政治主導した結果、落ち着き先がいまだはっきりせず、11月28日開票された沖縄県知事選挙結果待ちという情けない状況が続いていた。

 結局、国外移転を一貫して主張してきた前宜野湾市長の伊波洋一氏を破り、現職の仲井真弘多氏が勝利したものの、辺野古への条件つき移設を主張していた仲井真知事も県外移設要求に転じており、普天間基地の移設問題の決着は容易ではない。

日本をどうしたいか、ビジョンが全く見えない現政権

鳩山首相、沖縄県知事に陳謝 普天間移設問題

宜野湾市にある米軍普天間飛行場〔AFPBB News

 9月に起きた中国の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件対処では、これこそ政治の責任で行うべきところ現場の那覇地検がやったこととして政治が逃げ、領土保有に対する毅然たる態度を示せなかった。

 一体何が政治主導なのか、その見識と覚悟はあるのかと問いたい。

 政権政党としての経験が浅いのも原因と思われるが、何のために何を政治主導でやろうとしているのか、その根本となる考え(基本理念)が見えてこない。

 官僚に対して政治が主導するというような内向きの話ではなく、これから日本が進むべき道を政治が主導していくことではないのか。

 そういう意味で、戦後65年が過ぎた今、日本の置かれた状況をしっかり時代の流れの中でとらえて目指すべき方向を定めないと、このままでは日本の進路を誤るのではないかと危惧される。