つまり、「同質性を基本にしたチームワーク」から「異質性を基本にしたチームワーク」へとチームのあり方が変化したのである。

 そして大事な点は、後者においては個人の「分化」が不可欠だということである。

 なぜなら、一人ひとりの専門性や個性を尊重して採用することが必要だし、仮にそうした人材を採用しても、これまでのような集団主義的な働き方、育成方法、職場環境のもとではすぐに同質化してしまうからである。真の意味での「ダイバシティ・マネジメント」が必要になるわけである。

「分化」すると積極的な協力が生まれる

 興味深いのは、「分化」すると社員が利己的に行動したり、組織がバラバラになったりするどころか、むしろ他人を支援し、積極的に連帯しようという態度が生まれることだ。

 極端な例として、社員の給料を個人単位の歩合制にしたところ、社員同士が進んで協力し合うようになったという会社がある。また職場に外国人や非正社員が入ってきて、よどんでいた空気が一掃され、人間関係がよくなったという話も聞く。とくに異質なメンバー同士だと、だれもが主役になり、周りからたたえられるチャンスがあるし、それぞれがチームにとって不可欠な存在なので団結力も強くなる。

 チームワークのあり方について、根本的に考え直す時期にきていると言えよう。

(参考文献)なぜ日本企業は勝てなくなったのか -個を活かす「分化」の組織論』(太田肇著、新潮社、2017年3月刊)