同僚を必ずしも信頼していない日本人

 私は年に数回、企業調査のために海外へ行くが、近年、現地でしばしば耳にするのは「日本人は決まった仕事を同じ仲間同士でこなすのは得意だが、新しい仕事に新しいメンバーで取り組むのは不得手だ」という評価である。現地の外国人マネジャーからは「日本人同士いつも一緒にいるが、本当に助け合っているようは見えない」という声も聞かれる。

 それを裏づける調査結果もある。中央大学(当時)の佐久間賢は2001年に、日本企業と欧米企業のホワイトカラー(回答数計1406)に対して同僚との関係について意識調査を行った。

 結果を見ると、「職場の仲間が仕事に行き詰まったり、困っていたりしたら助け合いますか?」「良い仕事をすれば職場の仲間から高く評価されますか?」「あなた自身のノウハウ情報を仲間に進んで教えますか?」という各質問に対し、「イエス」と答えた人の比率はいずれも日本人が欧米人に比べて顕著に低い。日本人は同僚同士が仲間というより、むしろライバルとして意識し合っていることがうかがえる。

 極めつけは「いまの職場では同僚を信頼できますか?」という質問への回答だ。「ノー」という回答は欧米人が5%であるのに対し、日本人は24%にのぼる。逆に「イエス」の回答は半数に及ばない。大半の人は、一緒に仕事をしている同僚を必ずしも信頼していないのである(『問題解決型リーダーシップ』、佐久間賢著、講談社、2003年)。