このように働き過ぎの問題を解決することは、わが国において喫緊の課題だといえよう。

 ところが実際に残業を減らし、休暇の取得を推進しようとすると厚い壁に突き当たる。

 仕事の量が多すぎるとか、顧客・取引先との関係で早く帰れないというだけではない。社内でも会議や連絡・調整に多くの時間がとられる。そのため仕事の段取りもできない。また、がんばって仕事を早くかたづけても、同僚に手の遅い人がいると手伝わないといけないので効率的に働こうという意欲が生まれにくい。さらに、休暇を取得すると同僚に迷惑がかかるので、それを気兼ねして休みにくいという人も多い。

 いずれも個人の仕事の分担が明確に決められていないところに根本的な原因がある。

「分化」すればフレックスタイム、在宅勤務も容易に

 それだけではない。分担が不明確なので、仕事のアウトプット、すなわち個々人の成果や貢献度を正確に評価できない。アウトプットで評価できなければ必然的にインプットで評価せざるをえなくなり、長い時間、がんばって働いている者のほうが評価されることになる。少なくとも、そう思っている社員がまだたくさんいる。そのため仕事の忙しさに関係なく遅くまで残って「がんばり」をアピールする者が出てくるのである。