前回連載では、世界のグリーン化の流れを分析しましたが、翻って日本のグリーン化戦略はどうでしょうか?

グリーン政策の3つのE

 日本が1997年に6%の温室効果ガスの削減を国際社会にコミットした京都議定書から、2010年6月の通常国会の閉会に伴い事実上廃案となってしまった地球温暖化対策基本法案まで、様々なグリーン化政策導入を巡って日本で議論されてきました。

 しかし、どうもその論点が、「温室効果ガス削減対策によって企業負担、国民負担が増える」という視点に偏っている印象を受けます。

 確かに、フィード・イン・タリフ制度にしろ、炭素税にしろ、キャップ・アンド・トレード制度にしろ、環境政策・制度導入に伴いコストが発生することは事実であり、そのコストは最終的には我々国民が負担することになります。

 ただし、このコストの負担が、あたかも環境対策のためだけに発生するという議論の仕方は、近視眼的と言わざるを得ないのではないでしょうか。

 本来、グリーン化政策は、環境(Environment)に加えて、エネルギー安全保障(Energy Security)、次世代産業の創造(Economic Growth)の3つのEの視点から、包括的に議論されるべきテーマなのです。

 「環境」の視点からのグリーン化政策は、今まで日本でも散々議論されていますので割愛しますが、本稿では、「エネルギー安全保障」と「次世代産業の創造」の視点から見た、グリーン化政策の果たす役割は何なのか? それぞれ分析を試みたいと思います。

 まずは、エネルギー安全保障の視点です。

危険水域にある日本のエネルギー安全保障

 日本が1次エネルギー供給の96%を海外に依存していることは、第1回連載「今のままでは日本は絶対勝てない」の中で述べた通りです(図1:主要国のエネルギー輸入依存度)。日本のエネルギー安全保障の現状は、著しくかつ恐ろしく脆弱です。

 この日本のエネルギー安全保障の脆弱さが露呈した出来事が、過去何度かありました。オイルショックです。1970年代に2度のオイルショックが発生し、さらに2008年には原油価格が急騰し、史上最高値を記録しました(図42)。

 原油価格の高騰は、物価を押し上げ、インフレを招き、経済や国民の生活に甚大な影響を及ぼします。