中国の戦略的輸出ツールの1つである元型潜水艦(写真:中国海軍)

 中国は南シナ海の軍事的・政治的コントロールを強固なものにするべく、南沙諸島において7つの人工島建設をはじめ、航空施設、港湾施設、その他さまざまな軍事的・非軍事的施設の建設に邁進している。また、南シナ海沿岸諸国はもとより東南アジアの幅広い国々に対しても、アメリカとの政治的・軍事的友好関係に楔を打ち込む工作に注力している。

 加えて、そうした工作の一環として見過ごせないのが、海軍主力艦艇の輸出を通して人民解放軍海軍と東南アジア諸国の海軍との関係の緊密化を図り、ひいては軍事的関係の強化につなげようとしていることだ。

 これまでアメリカとの軍事的関係が比較的良好であった国々が中国の売り込みを受け入れて中国製軍艦を購入すると、アメリカにとっては手痛い打撃となってしまう。アメリカ海軍と、中国製軍艦を購入した海軍の間にギャップが生まれ、そこに人民解放軍が割り込み、やがては中国の影響下に引き込んでしまうからだ。

 このような軍艦売り込み工作は、広い意味の特殊作戦と考えることができる。中国は単に経済的見返りを求めるだけでなく、中国の南シナ海支配戦略ならびに海のシルクロード確保戦略の一環として、政治・軍事・経済のすべての分野にまたがってこの作戦を繰り広げようとしている。