インド南部チェンナイで開催された大規模ヨガイベントに参加する学生たち(2016年6月21日撮影)。(c)AFP/ARUN SANKAR

 米アップルが進めているインド直営店の開設計画は、一進一退の展開が続いていると伝えられていたが、インド政府がこのほど発表した規制緩和策によって、その計画実現の可能性がようやく見えてきた。

“30%調達ルール”を最大8年免除

 米ウォールストリート・ジャーナルやインドの地元紙、タイムズ・オブ・インディアなどの報道によると、インド政府は20日、外国直接投資の規制について、多岐に渡る分野で政策変更を行うと発表した。

 これには小売り事業のほか、防衛、民間航空といった分野も含まれる。

 インドのナレンドラ・モディ首相は同日、ツイッターへの投稿で、「この改革は、インドの雇用創出と経済への後押しになる」とコメントしており、新制度について、同氏も大いに期待しているようだ。

 新制度の下では、アップルの直営店「Apple Store」のような小売り事業は、国内調達義務が3年間免除されることになる。また、その取り扱い商品がインド国内で入手不可能な最先端の技術であると認められれば、さらに5年間、国内調達義務が免除されるという。

 インドではApple Storeのような店舗は「シングルブランド・リテール」に分類される。そして、その外資比率が51%を超える場合、金額ベースで約30%の製品・部品をインドの国内企業(できれば中小規模)から調達しなければならない、いわゆる“30%調達ルール”がある。

 しかしアップルの製品は大半が中国で製造され、部品も中国などインド以外の国で作られているため、この要件を満たすことができず、同社はこれまでインドで直営店をオープンすることができなかった。

一進一退の展開

 そうした中、インドではモディ首相の経済・市場改革に向けた取り組みのもと、外国直接投資の条件が緩和され、小売業者がインド国内で入手できない最先端の技術を同国に持ち込む場合、国内調達義務の免除を適用することができるという条項が盛り込まれた。

 そこでアップルは今年1月、商工省の産業政策・振興局に直営店開設の申請書を提出し、この免除の適用を求めた。