いま仮に、誰かがある政治家を失脚させたいと思ったとしましょう。

 どうすればよいでしょうか?

 自由社会での有効な方法は、その政治家に関する「スキャンダルめいたもの」をばらまくのが有効です。別に「スキャンダル」でなくてもよい。「めいたもの」で十分で、煙を立てていぶし、本人が登場したところで、大衆がネガティブな印象を抱くような失態を演じさせるのがよく効きます。

 答弁でも記者会見でも院外の失言でも場外の勇み足でも、何でもいい。そういうデータ、今日の情報ネットワークを前提にするのであれば、音声動画コンテンツの形で、そうした「みっともない」「見苦しい」シーンを延々繰り返して流し続ける。

 ほっておいても勝手に世の中が自走して、時間の問題で失脚してしまう公算が高い。そういう事例が近々あったか、久しくなかったかは別論としましょう。

 こういうのを「民主主義」と勘違いしてはいけません。メディア衆愚制と呼ぶのが正確な状態にほかなりません。

実証倫理の最前線

 話が突然変わりますが、6月24日金曜日 夕方から、東京大学本郷キャンパスで久しぶりに「脳機能可視化ライヴ」を開きます。

 久しぶりと言うのは2004年、2005年、2008年とかつてはしばしば開催していたのが、ここ数年・・・とりわけ3.11以降・・・ご無沙汰になっていたからであります。

 6月24日は18時から、ミュンヘン工科大学のクラウス・マインツァー教授をお迎えし、ドイツ連邦共和国バイエルン州政府日本代表部などのご後援をいただいて技術とELSIの問題を議論いたします(「哲学熟議11+哲楽遊戯5」)。

 参加ご希望の方はgakugeifu@yahoo.co.jpまでご来場者名とご連絡先を明記のうえお申込み下さい。1通で4人までお申し込みいただけます。「哲楽遊戯」ではエドワード・スノーデン氏のテクストによる新作の演奏などもありますので、ご期待下さい。

 さて、ELSIというのは聞き慣れない言葉かもしれません。テクノロジーを(Ethical)倫理的、(Legal)法的 そして(Social)社会的な(Issues)事柄から考える、という喫緊の課題でありますが、従来は、その重要性にもかかわらず、どちらかと言うと技術開発の横にお荷物のように言葉がついている、といったことが、実のところ少なくなかった。