6月4日、シンガポールで開催されたアジア安全保障対話のシャングリラ会議で、カーター米国防長官は「中国は自らを孤立させる万里の長城を構築している」と警告した。それに対して中国軍の孫建国副参謀長は、中国は孤立していないと応酬した。
南シナ海をめぐる米中の対立が先鋭化するなかで、6月6~7日に北京で米中戦略・経済対話が開かれた。南シナ海を争点とする安全保障分野で両者の主張は平行線をたどったが、経済分野では協力を拡大する方向で見解は一致した。
米中は外交と内政について激しく対立してきたが、対話が途絶えたことはない。なぜワシントンは北京との対話を続けるのだろうか。
南シナ海の実効支配を急ぐ中国
オバマ政権になってから、アメリカの対中戦略についてある大きな変化がみられる。それは、中国の内政問題への言及を明らかに弱めたことである。
かつてアメリカ大統領は定期的に中国の人権問題を批判していた。だが、オバマ大統領は中国の人権問題をほとんど口にしない。その代わり、アメリカは中国の外交に対する牽制を強めている。