ピンと来ない虚数

 連載は、三角関数誕生物語、ジョン・ネイピア対数誕生物語を経てオイラー物語まで進み、前回のオイラーの公式では、虚数が、sin、log、e、πらをつなぎ合わせる役目を果たす風景を見てもらいました。

 自然数、有理数、無理数、実数と続く数の世界の拡張の先に現れてきた“新しい”数が虚数です。

 その虚数が実数と同じように数学者に受け入れられるには、その実力が明らかにされる必要がありました。

 オイラーの公式は虚数の実力を私たちにまざまざと見せつけるものとなりました。はたして、20世紀、革新理論である量子力学は、オイラーの公式に支えられて誕生しました。

 量子力学を基礎理論として、半導体やレーザーなどは発達し、現在のコンピューターはできあがっています。この文章が処理・表示されているPCやスマホは虚数に支えられているということです。

 しかし、スマホと虚数が繋がっているといわれたところで、虚数にピンと来るはずもありません。

 2次方程式や3次方程式といった方程式を解いたときに虚数は現れてきます。