かけ算がたし算でできる様子
1614年、スコットランドの城主ネイピアによって対数logが考え出されたことを前回の連載で紹介しました。
対数は大きな数どうしの計算をたし算に変換することで楽に結果を求めることができるというアイディアです。
では、ネイピアの対数表を用いて、かけ算3173047 × 3175805がどのように計算されるのかみてみましょう。
(1)ネイピアの対数表の“Sinus”部分に“3173047”と“3175805”を探します。
(2)ネイピアの対数表の“Sinus”の右隣“Logarithmi”と記された部分の数をたし算します。
“Sinus” → “Logarithmi”
3173047 → 11478926
3175805 → 11470237
“Logarithmi”のたし算 11478926+11470237=22949163
(3)対数表の“Logarithmi”部分に(2)の和“22949163”を探し出します。実際には8桁すべての桁が合う数値は見つからないので、できるだけ合った“Logarithmi”を見つけ出します。
22949163 → 22949449(上5桁合致)
(4)探し出したらその左隣にある“Sinus”の数を10000000倍した値が求める積の概数値になります。
“Sinus” ← “Logarithmi”
1007669 ← 22949449
1007669×10000000=10076690000000
結論 3173047 × 3175805 ≒ 10076690000000(近似値)
さて、この近似値を実際の積と比べてみます。
3173047 × 3175805 = 10076978527835
3173047 × 3175805 ≒ 10076690000000
上5桁が合致していることが分かります。以上が、対数表を用いたかけ算の方法です。2つの数の対数を対数表で探し、その和を求め、さらに対数表の中にその和に近い数値を探すことで積の近似値が分かるということです。
これが、“かけ算がたし算に変換される”風景です。