桜咲く多摩川沿いの公道。セグゥエイツアーのデモンストレーションに参加した、保坂展人・世田谷区長(先頭から2番目、筆者撮影)

「この実証が終わった後、その先はどうなるのか?」

 集まった多くの記者たちが最も疑問に感じたのは、この点だった。

 2016年4月5日、曇り空の東京都世田谷区・東急二子玉川駅。隣接する商業施設「RISE(ライズ)」で「セグウェイツアー in 二子玉川」の記者会見が開かれた。記者席数はさほど多くないが、東京キー局のテレビ局全社、主要新聞と通信社の記者がズラリと並んだ。

 テレビやネットのニュースなどを通じて、本件の詳細についてはすでにご存じの方が多いかもしれない。参加者が、セグウェイ走行のための講習を受けた後、インストラクターのもと、およそ1時間をかけて二子玉川の街を走行するというイベントだ。

 このツアーは、会見用資料のトップに記載されたように「民間主体では日本初のセグウェイを使った規制緩和事例」である。

 資料でイベントの意義を一言で説明してくれているわけだが、換言すれば、こうした枕詞がないと、世の中の人々は「どうして今頃、こうした話題が大きくニュースに取り上げられなければならないのか」が分からないに違いない。

 参加した記者たちはパソコンを叩いて原稿を仕上げ、デモンストレーション走行する保坂展人・世田谷区長の雄姿をしっかり撮影してくれと同行のカメラマンに指示していた。しかし、結局、「どうして今頃?」「これから先は?」という疑問に対しては最後までしっくりこないままのようだった。

二子玉川での実証試験の詳細について、東急電鉄からの説明
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