キャプテン・アメリカ、スパイダーマン、アイアンマン、超人ハルク、グリーンランタン、X-メン、ウルヴァリン、デアデビル、マイティ・ソー・・・名だたるスーパーヒーローの中でも圧倒的に知名度が高いのがスーパーマンとバットマン。
その2者対決が見られる『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)が劇場公開されている。様々なスーパーヒーローが共有する世界「DCエクステンディッド・ユニバース」での物語、『マン・オブ・スティール』(2013)に続く第2弾である。
スーパーヒーローものと言えば、「子供向け」「くだらない」と一蹴する向きは少なくない。しかし、社会や政治と深く関わり、時代や流行に応じ、再生や変性を繰り返してきたキャラクターやプロットは、多くのことを考えさせる。
不況に苦しみ、戦火忍び寄る1930年代の米国では、新聞漫画が人気だった。
スーパーマンが誕生した時代
やがて、その多くは、一握りの若手作家の新作を合わせ、コミックブックとなるのだが、オハイオのティーンエージャー、ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターが、1933年に発表した作品のキャラクターには、新聞社も大手出版社もあまり興味を示さなかった。
しかし、1938年、DC Comicsが権利を獲得、「アクションコミックス」創刊号に載せると、一大ブームを巻き起こすことになる。赤いマントをはおり、青い全身タイツの胸にはSのマーク。スーパーマンである。
ただ飛ぶことはなく、パワーもそこそこ、架空の大都市「メトロポリス」で、ギャング、悪徳政治家、ブラック企業などに立ち向かう犯罪見張り人といった感じだった。
両親も故郷の星クリプトンも失い、地球にやって来たエイリアンの物語は、移民国家米国の住民自身にも重なったのかもしれない。翌年、新聞漫画、さらには単行本となり100万部以上売れた。そして、ラジオドラマ。
「弾より速く、機関車よりも強く、高いビルもひとっ飛び。空を見ろ、鳥だ、飛行機だ、いや、スーパーマンだ!」飛ぶことを始めたスーパーマンはアニメの主人公にもなった。
DCは、1939年、ボブ・ケインの生み出した新たなキャラクター、バットマンを登場させる。