今回は、「BL」をテーマに書評を書く。「BL」とは、「ボーイズラブ」の略であり、大雑把に言って「男同士の恋愛を描く物語」を指す。

 BLなんて俺には興味ないや、と思った男性諸君。まずは『俺たちのBL論』(詳しくは後述)からの以下の引用を読んでからその判断をして欲しい。

<売れているもの、ヒットする商品、あるいはCMに起用される人、人気のあるコンビ、全てBL要素に支えられています。仕掛け手がこのことについて知らなすぎる。BLってものをもっと情報としてだけでも入れてほしい!そして感覚で理解している人を制作サイドにつけてごらんなさい!

 言っとくけど、テレビ局の人、映画製作者、出版社の人、みんなBLに対する理解がなさすぎる。愚かです、これ。いや、もう一度言いますよ。「週刊少年ジャンプ」買ってるの誰ですか。女性ですよ。オードリーの人気は誰が支えていますか。腐女子です。ラーメンズのDVD買ってるの誰だ。腐女子です。

 今、お金を出すのはオタクなんです。なかでも腐女子。行動力だってあるすごい人たちなんです。その存在を無視してマーケティングだなんだと、ふざけたことを言ってるんです>

「BL」は、「一部の女性の変質的な趣味」ではなく、「消費と創作と評論を同時に行う知的遊戯」だということ。そして「この知的遊戯は男であっても楽しめるはずである」ということ。このコラムではBLに関する本を紹介しながら、こうしたことを伝えていきたい。

 もちろん、先の引用を読んだ上で、「ビジネスに生かせるかもしれないなら、情報としてだけかじってみるか」という興味でこの先を読んでいただいても一向に構わない。

 いずれにせよ、「BL」という言葉の響きだけで嫌悪感を持ったり、拒否したりしないでほしいと切に願う。