毎年8月を迎えるといろいろな想いが浮かぶものだが、今年は特に考えることが多かったので以下にまとめてみた。

戦後の国際情勢概観

未公開の9.11米同時テロ空撮写真公開、WTC崩壊の瞬間生々しく

この日を境に世界は変わり始めた。2001年9月11日〔AFPBB News

 第2次世界大戦後、ソ連が後押しする社会主義(あるいは共産主義)革命の広がりと、これを阻止したい米国を中心とする自由主義陣営との対立による、いわゆる東西冷戦構造が約45年間続いた。

 それは、各地域における様々な摩擦や紛争がグローバルに波及することのない、安定した世界情勢を生み出した。

 しかし、東側の西側に対する経済的敗北に起因する1990年の冷戦構造崩壊後、世界各地でそれまで抑えられていた様々な問題が次々と発生した。

 まるでパンドラの箱が開いてしまったかのように、希望さえも残らず、あらゆる問題が一斉に顕在化し始めた。

 民族間の対立の顕在化に加え、資源ナショナリズムやテロリズムが横行することとなった。

 そして、いわゆる9.11事件を契機として、世界の警察官として君臨してきた米国の権威が急速に失墜し始める。

 国際テロ組織撲滅と大量破壊兵器拡散防止を掲げて、アフガニスタンにおける対テロ作戦やイラクのフセイン政権打倒および同国の安定のため多国籍軍による軍事行動のイニシアティブを取ったまでは良かったが、結局、アフガン情勢は悪化するばかりで、イラクの国内情勢も安定からはほど遠い。

先進国が経済回復に専念する中、躍進する中国の軍事力

 米国は戦闘部隊をイラクから撤収しアフガン対策に努力を傾注しているが、大量破壊兵器拡散問題に加え、この2カ国の政情不安が大きな要因となっている国際テロ問題に対しては米国が国際社会による対応の先頭に立たざるを得ず、その負担は大きい。

 冷戦構造崩壊後の世界経済に関しては、いわゆるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と言われる国々などの発展が著しい。他方、先進国の経済が停滞する中で発生したリーマン・ショックは、現在も深刻な影響を与えている。

 このため米欧および日本などの政府は、主として経済不振を中心とした国内問題の処理に政策の主眼を置かざるを得ない状況に至っている。

 このような情勢下で、最近の中国はグローバルな経済的影響力の増大、軍事力の拡大あるいは世界中の資源漁りのための布石とこれを可能にするための海軍力(海洋力)運用能力の拡充に忙しい。