菅政権の新内閣で国家公安委員長に任じられた岡崎トミ子参議院議員は、第2次大戦中の日本軍の慰安婦問題を取り上げ、日本政府を糾弾してきた経歴で有名な人物である。韓国・ソウルで反日デモにまで参加し、現地の日本大使館に抗議をぶつけたことでも知られている。

 しかし、いわゆる慰安婦が存在したのはもう65年以上も前のことである。岡崎議員たちはなぜ65年以上も前の出来事の「非」を追及し、糾弾するのか。

 その動機は、百歩譲って最も善意に考えてみれば、ヒューマニズム(人道主義)であろう。過去でも現在でも、人間が権力に弾圧され、つらい苦労をさせられれば、その実態を知った者は被害者に同情し、加害者の不当な弾圧を許されざるものだと糾弾する。それこそ人の道だろう。

 しかし、ヒューマニズムの基準は誰にでも均等に適用されるべきである。人権を踏みにじられている人への救済や支援、あるいは加害者への抗議活動は、均等、平等に展開されるべきだろう。

 こうした原則を踏まえると、岡崎議員らは、北朝鮮の女性たちが現在、中国領内で苛酷な人身売買や搾取、弾圧の標的になっていることについてなぜ発言しないのかと問いたくなる。

中国人の妻として買われた北朝鮮女性

 そんな思いを痛感させられる米国議会の公聴会を傍聴した。9月23日のことだった。米国議会下院の「トム・ラントス人権委員会」がこの日に開いた、北朝鮮難民の中国領内での窮状についての公聴会である。

 トム・ラントスというのは、下院の外交委員長を長年務めて最近死亡した故ラントス議員のことだ。ラントス氏が人権問題を熱心に提起したことから、その名を取った特別の人権問題委員会が下院に設置されたのだった。

 「私は北朝鮮での生活苦から2002年に中国へと脱出しました。けれども、中国領内ですぐにブローカーに捕まり、わずか数カ月の間に3回も売られました。