ここ数年、アフリカンポップスの面白い作品が毎月のようにリリースされていて、とってもエキサイティングな状況になっています。日本にはなかなかその活況が伝わってきませんが、ヨーロッパでは地理的、歴史的距離が近いということもあって、大きな会場でのライヴや大規模なフェスでも、さまざまなアフリカのアーティストがとても人気を博しています。

 1980年代後半~90年代のいわゆるワールドミュージック・ブームと呼ばれた時期にも、さまざまなアフリカのミュージシャンたちが人気を博しました。ただ、個人的には良いなあと思った作品もいくつかはあったとはいえ、アフリカ伝統音楽(あるいはアフリカ独特のポップミュージック)の要素に欧米ポップスの要素やアレンジをそのままダイレクトに施すそのサウンドの多くは、イマイチ上手く混ざり切っていないという印象を受けていて、逆に純粋なアフリカ伝統音楽のほうに魅力を感じていたりもしました。

本コラムは音楽レビューサイト「Mikiki」とJBpressのコラボレーション記事です

 ただし、当時からアフリカとヨーロッパのミュージシャンたちは2つの音楽性をミックスさせる試みを今日まで継続して、だんだんとお互いの良い部分を生かしながら新たなポップミュージックを創造し続けてきました。アフリカとヨーロッパのミュージシャンが同時代のそれぞれの音楽を分け隔てなく吸収し、自然と互いの音楽要素がミックスした良質で新たな音楽性を獲得してきているのが、現在の活況に繋がってきているのだと思います。

 ミュージックレビューサイト「Mikiki」ではオールジャンルの音楽作品を日々紹介しているのですが、アフリカ音楽の作品のレビュー記事がアクセスランキングの上位に入ることが頻繁にあります。なかなか日本の他のメディアで紹介される機会がないので物珍しく読まれているということもあるとは思いますが、試聴映像/音源付きで紹介しているので、一度その音楽に触れてみると、これまで全く聴いたことのないサウンドに驚きを感じると共にすっかり魅了される音楽ファンの方が多いのも事実だと思います。