ITビジネスの潮流に変化の兆しが出ている。

 これまでコンシューマ向けのサービスと思われていたクラウドコンピューティングがとうとう企業情報システムの分野に本格的に普及し始めた。

 クラウドがビジネスの現場に浸透することになれば、企業のビジネスモデルや組織形態、さらにはマクロ経済にも大きな影響を及ぼすことになる。

 米国の株式市場では、関連銘柄の株価が高騰しており、潮目の変化が顕在化してきている。時代の変化は思ったより早く到来するかもしれない。

マイクロソフトの株価が減収でも高騰した理由

 10月22日に発表されたマイクロソフトとアマゾンの四半期決算の数字は、市場関係者に本格的なクラウド時代の到来を確信させる内容となった。これまで先行投資と考えられていたクラウド関連事業が、業績に貢献するようになってきたからである。

 マイクロソフトの2015年7~9月期における売上高は前年同期比12.2%減の203億7900万ドル(約2兆4500億円)、純利益は1.8%増の46億2000万ドルであった。数字だけを見れば減収であり、増益もごくわずかという結果だが、株価は正反対の反応となった。翌日の株式市場で同社株は10%値を上げて取引をスタートし、その後も高値を維持している。