青緑にきらめく光が夜空に流れた――。
日本の主要メディアがほとんど扱わなかった出来事が2回、11月7、9両日に起きた。特に7日の閃光は米西海岸の南カリフォルニア州を中心に、多くの人が目撃した。アリゾナ州やネバダ州からの目撃情報も相次いだ。
瞬くような光は飛行機や飛行船によるものとは明らかに違っていた。当初は「UFOか隕石に違いない」といった書き込みがSNSに溢れた。ロサンゼルス国際空港は警戒レベルを高め、11月12日まで航空機の夜間発着を控えると発表したほどだ。
だが米海軍のライアン・ペリー中佐が真相を発表。
UFO騒ぎの真相は弾道ミサイル
オハイオ級原子力潜水艦ケンタッキーが南カリフォルニア沿岸で、弾道ミサイル・トライデントⅡD5の発射実験を行ったと明かした。空港にも事前通知されていなかった閃光事件は落ち着いた。
ただ、筆者が首都ワシントンで別件の取材をしていると、いくつかの関連情報が耳に入ってきた。弾道ミサイルの発射実験は珍しいことではないが、「今回の発射実験はタイミング的にほかに意図がある」というのだ。
この指摘が当を得ているかは定かではない。実は、ミサイル発射実験は1989年以来、今回で159回目となる。軍事情報の性質上、事前に知らされることはほとんどないが、今回は夜間で、しかも沿岸で行われた発射実験だっただけにUFOに間違えられている。
それでも、11月7日というのはアシュトン・カーター国防長官がカリフォルニア州ロサンゼルス郊外にあるロナルド・レーガン図書館で講演をした日だった。長官はもちろんミサイル発射のことを熟知していたはずだし、目視していた可能性も高い。
普段、首都ワシントンにいる国防長官が南カリフォルニアにいた時に、なぜミサイル実験を行ったのか。その答えの一端が講演内容から読み解ける。