1965年の第1回会議から50年、これまで4000人以上が指名を受けてきたプロ野球ドラフト会議が、10月22日、行われた。高橋純平投手、高山俊外野手、平沢大河内野手。高評価を伝えられていた選手たちが1位競合、くじ引きの末、交渉権獲得チームが確定した。
無名の「隠し玉」もいた。予想外の「指名漏れ」もあった。多くのドラマを生み、育成ドラフトも含め、今回指名されたのは116人だった。
そんな選手たちのプロへの夢を現実へとつなぐ影の立役者、スカウトの腕の見せどころでもあるドラフト。『人生の特等席』(2012)は、ドラフトを間近に控える米国で、選手を追い続けるスカウトたちの物語である。
クリント・イーストウッド演じる超ベテランスカウトは、視野障害に悩まされながらも、その耳と娘の目を通し、選手の才能を感じ取る。コンピューターが導く分析を重用し実際に選手を見ない、と若手の非難もする。
デジタルデータ解析必須時代
もちろん、いまや膨大なデジタルデータ解析が必須の時代。しかし、その10年前、2002年シーズンを舞台とした『マネーボール』(2011)で描かれた、統計から選手の価値を見出す「セイバーメトリクス」はまだまだ異端だった。
「伸び代」ともなれば、映像なども含めたデータでは測りがたい何か、「勘」「センス」といったものも必要となろう。データがどこまで「実力」を物語り、活躍を計算できるかは、未来を科学や数学で予測できるか、人工知能は人間の脳のかわりとなれるか、といった議論とも通じるものだ。
ドラフト会議開始半日前から始まる『ドラフト・デイ』(2014)は、冒頭語られる通り、「32チームによる7巡の指名で224人が選ばれる」NFLドラフトを巡る物語。
全米1位指名権を持つシアトル・シーホークスは、7位のクリーブランド・ブラウンズにトレードを持ちかける。
ケヴィン・コスナー演じるブラウンズGM(ゼネラル・マネジャー)は一度は断るが、チームの不振で窮地にあり、将来の1巡指名権を与える条件をのみ、「商談」は成立する。
オーナーは評判のQB(クォーターバック)ボーが取れると上機嫌。しかし、チームには故障上がりの優秀なQBがいる。ほかに欲しい選手もいる。