ベルリンのアルヒェンホルト天文台にあるアルキメデスのブロンズ像(Wikipediaより)

 発想力は、イノベーションと創造性(クリエイティビティ)の源泉であり、そしてあらゆる問題解決の現場で必要とされる能力である。このため、さまざまな問題解決に取り組む社会的リーダーには、豊かな発想力が要求される。

 では、どうすれば発想力を鍛えることができるだろうか。

常識にとらわれずに発想する方法

 まず、発想とはどんなプロセスか考えるために、クイズを出題しよう。

 次の単語に続く3文字の単語は何か? 「おこし ○○○」。この段階で正解できる人は少ない。次の3文字が必要だろう。「おこし につけ ○○○」。この段階で正解できればかなり発想力が高い。さらにヒントを出そう。「おこし につけ たきび ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○」。残る3×5文字で完結する文章は何だろう?

 このクイズは、発想プロセスの3つの特徴をよく表している。第1に、発想とは脳内データベースに記憶されている言葉やアイデアなどの探索過程である(音楽なら音を、絵画なら色や形などの画像要素を探索する)。第2に、手掛かりとなる情報が増えるほど探索は容易になる。第3に、ある探索ルートの設定が、それ以外のルートによる探索を邪魔する。

 上記のクイズの場合、「おこし」や「につけ(煮つけ)」という言葉の意味を考えて次の単語を探索する人が多いだろう。どちらも食べ物なので3番目も食べ物だろうと予想して探索すると、正解にはたどり着けない。

 「たきび」というヒントが与えられると、脳は食べ物を探索するのをやめて、別ルートで探索を始める。発想力が高い人は、探索ルートが豊富であり、常識にとらわれない探索ルートを選ぶことができるので、はじめから食べ物以外のルートでも探索しているのだ。

 ちなみに、このクイズの正解は、童謡「桃太郎」の歌詞である。「おこし につけ たきび だんご ひとつ わたし にくだ さいな」。

紛失物を探すのも発想勝負?

 次のクイズは、私自身の経験に基づくものである。