TPPは大企業支配を助長、「国家主権が損なわれる」と懸念の声

米国のTPP反対派は、TPPは国家の利益や個々の消費者よりも多国籍企業を優遇するものだと批判している。TPP反対を訴える米国の広告(2015年7月23日撮影)。(c)AFP/BRENDAN SMIALOWSKI〔AFPBB News

 TPPが大筋合意したようです。TPPは農業以外にも様々な分野で交渉が行われましたが、ここでは農業分野に限って話を進めます。

 農業関係では、農林水産品834品目のうち半数以上になる440品目の関税が撤廃されます。また、いわゆる重要5品目(米、麦、乳製品、牛肉・豚肉、サトウキビ)の関税は維持されるものの、ミニマムアクセスの認可や上積み、関税率の段階的引き下げなどが行われます。

ほとんど譲歩しなかった重要5品目

TPP農林水産物市場アクセス交渉の結果」「TPP交渉 農林水産分野の大筋合意の概要(追加資料)」など農水省の結果報告資料から一見して分かるのは、重要5品目に関しては、日本がほとんど譲歩していないことです。

 日本からの輸出が増えそうな牛肉だけは譲歩の幅が比較的大きいですが、他は現行制度を維持して、ミニマムアクセスのTPP枠内での調整や市場規模の小さい分野での関税などで譲歩して交渉を切り抜けました。