TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉がついにまとまった。この多国間交渉での大筋合意が加盟各国で批准されれば、米国や日本など合計12カ国から成る世界最大の自由貿易圏が出現する。
だが、そこに加わっていない中国にとってTPP交渉の合意は「敗北」であり挫折だとする見方が米国で広がっている。TPPが中国の経済面のみならず政治面、安保面での膨張を抑え、中国政府の価値観が非難されることになるというTPPの「中国抑制効果」が語られるようになった。
中国牽制の「武器」になるTPP
TPPが帯びている中国牽制の傾向は、大筋の合意成立を受けて米国のオバマ大統領が発言した内容にもはっきりと表れていた。
「私たちの潜在的顧客の95%が米国の外部に住むとなると、中国のような国に世界経済のルールを書かせるわけにはいかない」