世界経済のアキレス腱が中国であり、中国のアキレス腱が外貨事情と為替動向にあることは、9月以降のレポートで論述した。とすれば、直近の人民元の安定化は、中国と世界経済にとって、一安心できる事柄と言えるだろう。
人民元不安の鎮静化で国際金融市場は安定へ
図表1に見るごとく、8月11日の人民元切り下げ以降急拡大していた人民元香港相場(オフショアレート)と中国国内相場(オンショアレート)の格差が急収縮している。中国政府による人民元相場死守の意図が、如実に市場に現われたものとみられる。
特に9月以降、外貨予約取引(売り取引のみ)の制限、個人の外貨転換の制限など資本規制が強化され、投機的な人民元売りが著しく抑制されたとみられる。