今回は新興国のビジネスリスクシリーズ第6回目として、ASEANで最大の人口、面積、経済規模を誇り、天然資源も豊富なことから今後の成長が確実視される、大国インドネシアを取り上げる。最近は、ジャワ島の高速鉄道計画をめぐる受注競争で日本が中国に敗れたことでも注目を集めた国である。
経済規模はASEAN諸国最大
まず、インドネシアの概要から見ていこう。
インドネシア共和国は大小1万8000以上の島々から成る島嶼国である。面積は191万931平方キロメートル(日本の約5倍)で世界第15位の国土を有している。また、人口は約2億5756万人で世界第4位となっており、面積、人口、さらには経済規模もASEAN諸国最大である(人口は今後も増加傾向をたどり、2033年には3億人を越えると予測されている)。
民族的にはジャワ人40.1%、スンダ人15.5%、マレー人3.7%等で構成されている。ちなみに、華僑人口は約3%とされており、1国の華僑人口としては世界最大規模となっている。宗教的にはイスラム教87.2%、キリスト教7.0%、キリスト教(カソリック)2.9%、ヒンズー教1.7%等となっており、イスラム人口は世界最大である(民族および宗教については米国中央情報局(CIA)の「World Factbook」による)。
なお、言語については公用語であるインドネシア語の他、英語、オランダ語等を含め700以上の言語があるとされており、民族等を含め、極めて多様化した国であると言える。
現在のインドネシアの経済基盤を築いたのは、1968年に就任したスハルト大統領である。スハルト大統領は従来の外交を大転換し、西側諸国との関係を改善すると共に、外資優遇措置を導入するなどの政策を実施した。これによりインドネシアは大きく発展した。