「DARPA 災害対応ロボットコンテスト」の様子。自律式ロボットによる自動車操縦も競技対象となった。(出典:DARPA)

 今や軍事技術におけるイノベーションは、大企業ではなくベンチャー企業に可能性が眠っていると言っても過言ではありません。なぜならば、人工知能、3Dプリンタ、サイバー攻撃、パワードスーツなどの将来戦のカギとなる兵器に関する最先端技術、特にソフトウエア関連技術は、ベンチャー企業にこそあるからです。

 防衛省でも、こうした動きに追随すべく、本年度より軍事イノベーションを振興するための「安全保障技術研究推進制度」が新しく開始されました。

 しかし、残念ながらこの制度は、様々な理由により劇的な成果も出さなければ有望な結果も出せないだろうと思われます。

 本稿では、軍事イノベーションを起こすための米国の取り組みを概観し、その上で、防衛省の制度が機能しない理由を指摘したいと思います。そして、それを踏まえて防衛省が行うべき施策について論じます。

米国が先頭を走る軍事イノベーション

 今や、人工知能、3Dプリンタ、サイバー攻撃、無人兵器、パワードスーツなどの軍事転用は着々と進みつつあります。もっとも先端を行っているのは米国です。