個人のライフスタイルを変革したスマートフォンやタブレット端末は、今やビジネスの現場でも当然のように活用される存在となってきた。企業におけるモバイル端末の利用は果たしてどこまで進んでいるのか、また今後どのような形で活用されるようになっていくのか。JBpressでは、2015年7月に読者に対して「企業のモバイル活用に関するアンケート」と題したアンケートを実施。その回答結果から、企業におけるモバイル端末活用の潮流を探ってみよう。

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ビジネスでのモバイル活用は当たり前の時代に。
74%が何らかのモバイル端末を業務で活用

 設問1「あなたの会社では、仕事でスマホやタブレットなどを利用していますか」に対しては、「スマホ、タブレット両方」との回答が約1/3にあたる34%で最多であった。「スマホのみ」(26%)、「タブレットのみ」(14%)を合わせると、実に全体の74%がモバイル端末を利用していると回答しており、モバイル端末がビジネスの現場に浸透していることを裏付ける結果となった。

設問2「それらの端末は会社から支給されたものですか」に対しては、「スマホ、タブレット両方会社支給」(21%)、「スマホのみ会社支給」(17%)、「タブレットのみ会社支給」(15%)と、デバイスを会社で支給しているケースも半数以上に達している。特に、企業規模別50名未満の小規模企業を除けば、会社支給の方が多数を占めており、モバイル端末を企業のコントロールのもとで業務ツールとして活用しようとしていることがうかがえる。

 一方、「どちらも会社支給ではない」という回答も47%にのぼっている。従業員の私物であるモバイル端末を業務に用いるBYOD(Bring Your Own Device)と、企業が選定したデバイスを支給するのか、今後どちらが主流になるのかが注目されるところだ。

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複数の業務利用がより効果を生むという結果に。
「メール」「スケジュール管理」だけでは、本当の
活用効果は期待できない

 これらのモバイル端末は、どのように用途に活用されているのだろうか。設問3「おもにどのような業務用途で使用していますか(複数回答可)」に対する結果は、「メール」(214名)、「スケジュール管理」(149名)が他を大きく引き離し、「営業資料閲覧や提案用」(96名)がこれに続いた。


また、利用部門を尋ねた設問では、「営業/販売」(19%)、経営全般(13%)、社内向け情報システム(8%)の順となり、以下、さまざまな部門でまんべんなく活用が広がっていることがわかった。

 こうしたことから、企業でのモバイル端末の活用の現状は、営業や販売の際、すなわち、外出先や社外でのメールやスケジュール管理が主体であると推測できる。

 さらに、導入の効果を尋ねた設問4「現在のモバイル活用は業務に効果的であると思いますか」では、「とても効果的」(18%)、「まあまあ効果的」(54%)、「あまり効果的とは思わない(19%)、「ぜんぜん効果的ではない」(9%)という結果になった。せっかくのモバイル端末も、多くの人の用途はまだまだ携帯電話やパソコンの延長の域をでていないということだ。

 

 そこで次に注目すべき点は、設問3において、複数の業務でモバイル端末を活用しているユーザーほど、「とても効果的」「まあ効果的」と回答する比率が高まる傾向にあることだ。全体の回答における「とても効果的」「まあ効果的」の比率は合算で74%であることに対して、3つ以上の業務利用の場合の「とても効果的」「まあ効果的」と回答した率は81%、4つ以上になると86%、5つ以上の場合には93%となった。モバイル端末を導入したら、メールやスケジュール管理にとどまらず、もう一段高度な用途で利用することが導入効果を高める上で重要になるということだ。

※業務利用なしと回答したデータは含まず。

モバイル活用の範囲はコミュニケーションから、
より専門業務や顧客に関わる用途へ移行

設問5では「今後、どのような業務にモバイルを使いたいと思いますか(複数回答可)」を尋ねた。設問3で上位だった「メール」「スケジュール管理」「営業資料閲覧や提案用」はポイントを下げ、逆に「データ分析、社内ナレッジ共有」「顧客管理/顧客情報へのアクセス」「営業日報」「接客用の情報表示」「在庫確認」「経費精算」「業務専用のアプリケーション利用」はポイントが上昇した。デジタル端末の導入により、メール、スケジュール管理などの“ビジネスの基本”を実現した後は、次のステップとして、より業務に深く関わる用途を実現したいというユーザーの期待感が見てとれる。

 

設問6「現在のモバイル活用には、どのような課題があると思いますか(複数回答可)」では、情報漏えいやBYODポリシーといったセキュリティ領域の課題をはじめ、「導入目的や活用方法の明確化」「モバイル端末の用途が限定されている」「基幹系システムなど既存の業務システムとの連携」を挙げる回答が多かった。より幅広い用途、とりわけ業務システムと連携した活用を求める意識が現れていると言えるだろう。

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先進ユーザーほどモバイルアプリケーションの必要性を認識

 企業の業務システムは、そのままではモバイル端末で使えないものも少なくない。ブラウザベースの業務システムであれば利用できる場合もあるが、PC向けに設計された画面はマウスとキーボード操作に合わせたもので、タッチ操作を主体とするモバイル端末では非常に使いづらいものとなる。そこで必要になるのが、業務システムのユーザーインタフェースとなるモバイルアプリケーション(以降 モバイルアプリ)だ。

 設問7「自社専用のモバイルアプリが必要だと思うことはありますか」の結果では、「非常に必要」と「まあまあ必要」を合わせても36 %で、その必要性を認識しているユーザーは少ないように見てとれる。しかし、設問3で用途の数が4つ以上あると回答した先進ユーザーに限ってみると、「非常に必要」と「まあまあ必要」を合わせて39%とアップしている。加えて注目すべきは「ほとんど必要ない」と回答した比率が32%から23%へと大幅に少なくなっていることだ。積極的にモバイル活用しているユーザーほどモバイルアプリの可能性や必要性を認識していることがわかる。
 

 

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■モバイル先進事例:製造業におけるモバイルアプリ活用例

 モバイルアプリにより、様々な業務に直結した形でモバイル端末を利用できるようにすることが、モバイル活用の効果をより高めるための大きなポイントとなる。しかし、一口に業務直結といっても、業界・業態・業種さらには部門や役職などにより、業務内容は多種多様だ。製造業を例に、その具体的なユースケースを考えてみよう。

●生産部門管理者
工場現場を取り仕切る主任などの立場では、シフト制の生産ラインの人員状況や生産状況を的確に把握することが、業務の上で非常に重要となる。アプリ上で生産目標も同時に確認できるようにしておくことで、進捗に応じた人員再配置なども迅速に実施できるようになる。また、製造機器の故障やラインでの問題発生時に、映像と音声による記録と本部への報告を行えるようになっていれば、ライン停止時間を最小限にすることも可能だ。

●ラインスタッフ
スタッフに持たせたタブレット端末を通じて各ラインへの生産指示を徹底することで、ミスを軽減することが期待される。また生産完了などの進捗状況入力を現場スタッフでも簡単に入力できるようにしておくことで、リアルタイムに近い進捗管理が可能になる。

●保守サービス
フィールドでの機器保守サービスなどには、これまで主に機器の内部情報にアクセスして状況を把握するための機能に特化した専用端末が用いられてきた。生産台数が少ないことから端末価格や保守費用が高い上に、情報系の機能を持たないものがほとんどだ。こうした専用端末に代えてタブレットを活用することで、サービス対象に関わる情報にすばやくアクセスできるようになる。また、訪問先の地図やメンテナンス履歴、作業指示などを手元で一覧でき、現地作業以外の業務効率も向上することが可能。

 さらに、映像および音声での記録を容易に取得できることも大きなメリットとなる。こうした記録は、現場で対処できない障害が発生した際に本部へ送ることで、より適切な対応指示を迅速に得ることが可能となる。また、記録を分類・管理しておくことで同様のケースが生じた場面でも活用でき、さらには設計開発部門などへ品質改善のための情報としてフィードバックする際にも大きな効果を発揮する。

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モバイルアプリのもたらす価値と自社向けモバイルアプリ導入する際の留意点や、小売業での先進活用事例などを紹介

 

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 企業が成長する戦略のひとつがビジネス領域の拡大だ。セイコーエプソンはコア技術である高精度なセンシング技術をより広い分野に応用し、健康・医療、スポーツ、産業の三分野で製品を拡大中である。

 2014年2月に国内発表した次世代ゴルフスイング解析システム「M-Tracer For Golf MT500G」(以下、フルスイング・モデル)もそのひとつだ。製品開発のポイントは、センサーから取得したデータをいかに見やすく、使いやすく、分かりやすく提供することであるが、セイコーエプソンはデータ表示のためにモバイル端末を選択。フルスイング・モデルと専用のモバイルアプリは多くのユーザーに利用され事業拡大戦略に貢献している。

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