米海軍などのイベント「フリートウイーク」開幕

米ニューヨークで開幕した毎年恒例のイベント「フリートウイーク」で海上をパレードする米海軍のドック型輸送揚陸艦サン・アントニオを見る人たち(2015年5月20日)〔AFPBB News

1 押し流される新大綱(25大綱)

 日米防衛協力の指針(ガイドライン)が、1997年以来、18年ぶりに見直され、大きな進歩があったことは喜ばしいことである。

 しかし、その中に米国の作戦・戦略の大変革によって突きつけられている我が国防衛政策の大胆な転換への要求があることに気づいているだろうか。

 日米の新ガイドラインの中に繰り返し出てくる、日本が「防衛作戦を主体的に実施」し、米軍は「自衛隊の作戦を支援し、補完」するとしたところに重大な意味がある。

 日本の防衛は日本が主体となって実施することは至極当然だが、この文脈は従来の延長線での防衛の概念ではなく、作ったばかりの防衛計画の大綱を早急に見直さなければならないほどの重大な意味が込められている。

 中国は、2015年の国防白書で2021年までに中国の夢、すなわち、強軍の夢を実現することを明確にした。事実、中国軍は2020年を目標として宇宙ステーションを作り宇宙軍を創設するとし、35基の北斗により世界規模のGPSを展開する予定だ。

 さらに、局地戦に勝てる装備を充実して、統合運用も2020年を目標とする等、強軍の実現に向かって確実に進んでいる。

 日本国内で自衛隊を縛る不毛な議論が続いている間に、米中はこの5年間を勝負と見据え、中国は局地戦を戦って勝つための大軍拡を、米国は大変革を行おうとしているのである。

 そして、絶対的と思われた米国の軍事力が揺らぐ中、もう一度日本の防衛力のあり方を洗いなおさなければならないだろう。次に述べる米国の大変革を読んで考えていただきたい。