VLSIシンポジウムにプレスとして参加
半導体の三大重要国際学会の1つであるVLSIシンポジウムについて、国別論文数のシェアを分析したところ、半導体出荷高シェアとの相関関係があることが分かった(「国際学会の論文採択数が激減、弱体化が止まらない日本半導体の研究開発力」2015年3月4日)。この記事が関係者の目にとまり、それがきっかけとなって、2015年6月15日~19日に、京都で開催された第35回VLSIシンポジウムに、プレスとして招待された。
VLSIシンポジウムは毎年6月に京都とハワイで交互に開催される。シンポジウムはデバイス・プロセス技術に関するテクノロジー(Technology)分野と、システム・回路設計技術に関するサーキット(Circuit)分野の2つに分かれている。
私は、半導体の技術者時代に微細加工技術を専門としていたことから、領域が近そうなテクノロジー分野に主として参加した。といっても半導体では技術領域が少しでも異なると、専門用語、表記方法、概念などががらりと変わる。そもそも論文採択率が20~40%とレベルが高い上に、慣れない専門用語にあふれた発表を、英語で聞き取らなくてはならない。一つひとつの発表を正確に理解できたかといえば、はなはだ怪しい所もあるのは止むを得ない。
しかし、連日10時間以上も聞いていれば、「門前の小僧習わぬ経を読む」という諺にもあるように、何となく、全体の動向が分かってくる(ような気がする)。そこで本稿では、まず、本シンポジウムのテクノロジー分野から見えてきた世界半導体市場および微細化の展望を述べる。