安保法案に「ノー」、人間の鎖で国会取り囲む

赤い服を着て横断幕などを掲げながら、安全保障関連法案に抗議する国会周辺のデモ参加者ら(2015年6月20日)〔AFPBB News

 安全保障関連法案で大きく揺れる国会審議ですが、インターネットの匿名サイトはもとより、大手のメディアでも「違憲」「違憲でない」といった言葉だけが実体を欠いて空転して見えるような嫌いがあります。

 そこで今回は、多くの人が「常識」と誤解している憲法の「源流」を、落ち着いて探訪してみることにしたいと思います。

 まず、今回の経緯を振り返ってみましょう。物事が大きく動き始めたのは6月4日のことでした。衆議院憲法審査会において、与野党各党が推薦する3人の憲法の専門家が、全員揃って「安保法案は憲法違反」と明言したことで、物事の流れが大きく変わってきました。

 今回の安保法案のポイントは、煎じ詰めれば「『集団的自衛権の行使』が合憲か違憲か?」の判断にかかってきます。賛否の別と無関係に、

1 従来の政府見解とは異なっている

 ことは間違いないでしょう。これに異を唱える人はいないと思います。また、

2 従来なら違憲とされた範疇に踏み込んでいる

 ことも、誰も否定しないと思います。問題は、

3-A 従来は違憲だったが、情勢が変わってきたから政策判断で合憲ということにしよう

 という人と、

3-B 従来も違憲だし、現在も、今後も、違憲であることに一切揺るぎはない

 という人に意見が分かれるという点でしょう。で、まともに法律を学んだ人で3-Aを言う人がいれば、何か背景があるのだと思ってみるのが適切と思います。普通に落第しない程度に法律を学べば3-B以外の答えが出てくるわけがないからです。

違憲とは何か?

 では、そもそも「違憲」とは何なのでしょう?

 憲法に違反している状態が「違憲」にほかなりません。

 では「憲法違反」とは何か。そもそも「憲法」とは何なのか?

 一部の政治家の発言や、ネット上の多くの書き込みを見ていると、学校で習って社会に出るべき一の一を理解していないケースを非常に多く目にします。

 まことに無知ほど強いものはないのかもしれません。