思わずコーカレイ橋のたもとに駆け寄り下をのぞき込み、思わずぎょっとした。

 川の上にぷかぷか浮かんだいかだのような四角い箱状のものが鎖でつながれた状態で手前から向こう岸まで等間隔に並び、縦長の板が渡されている上を、先ほど降りていった40~50トン級の超重量トラックが少しずつ渡り始めたのだ。

 トラックの重みがかかった箱が、1つずつぐいっと水面に押し付けられる。もちろん、完全に沈むことはない。トラックが次の箱へと移動すると、重みから解放された箱が再びふわっと水面に浮かび上がる。

 「ポンツーン橋」と呼ばれるこの浮橋タイプの橋梁、もともとは平底船や廃船を利用し応急的に架けられた軍事用のものだという。

コーカレイ橋のたもとに設けられた計量所

 案内してくれたミャンマー建設省のウィン・ルウィン氏によると、このコーカレイ橋を通行する車両は1日あたり約1400台で、30トン以上の大型車両はこのポンツーン橋に迂回させているのだという。同氏は「日本の援助によりこのコーカレイ橋が架け替えられることを願っている」とも付け加えた。

 東西経済回廊上の「ミッシングリンク」と呼ばれていた西側の起点であるミャンマー国内のミヤワディ~モーラミャイン間がつながったことで、メコン地域全域にまたがる広域サプライチェーンとして今後ますます物流が増えていくことは必至だ。その回廊上に位置する橋梁がこんな状況では、心もとないこと甚だしい。

 一方、この国の高速道路の整備もユニークだ。背骨のように国を南北に縦貫する高速道路。ヤンゴンと首都ネピドーの間はちょうど320km(200マイル)で、所要時間は4~5時間だ。2006年にネピドーに首都が移転されたのに併せ、急ピッチで建設が進められたという。

 左右の車窓から見えるのは、一面の草原と木ばかり。たまに茅葺きの家がぽつんぽつんと建っているだけの平野を片側2車線の道路がただまっすぐに伸びている。

 しかし、首都と国内最大都市を結ぶ、最も重要な高速道路であるにもかかわらず、この道路を走っているのは一般乗用車とバスだけで、貨物を積んだ大型トラックを見掛けることはない。重車両は、この高速道路に平行して走る国道を走行することが義務付けられているのだという。