2009年、新しい年を迎えて、日本はどう変わっていくのでしょうか?

 特にメディアを通じての情報発信の観点から、少し考えてみたいと思います。

世界からは何を言っても反応のない国と思われ始めた

 過去を振り返ると、高度成長時代の終わり1980年代、日本はバッシング(bashing)の嵐に見舞われました。それが90年代に入ると、よく言われたように日本パッシング(passing)、21世紀にかけてはナッシング(nothing)、さらにこの数年は国際バランスの中では日本ミッシング(missing)という情況が恒常化しています。

 諸外国の政府や海外企業が、日本に意見を求める、提案を出しても、「検討します」といった形式的な返事だけで、自分の意見や実質のある反応がほとんどない。さらに、グローバルな課題に自ら積極的に発信し、提案し、明確にリードするわけでもないという実態が定着しきってしまい、日本はナッシングからミッシングの状態になってしまっているのです。

 さらに問題なのは、こうした状態に多くの日本人自身が気づいていないということです。

 日本人は、日本が海外からどのように見られているのかを知るべきでしょう。また急激な経済の変化の中で、世界も「よく分からない日本」の中味を知りたがっています。そこに共通の窓を開く、「開国」が必要なのです。

日本を世界に売り込める人が誰もいない

 日本の国内向けテレビ放送を見ると、タレントと食べ物の話題ばかりが日本語で放映されています。日本人は世界を知らないし、諸外国にも何を考え動こうとしているのかがよく分かりません。情報が偏っているのです。国内では、インターネットの利用状況なども、かなり高い知識階層の人がもっぱら日本語だけで情報をチェックしているようです。

 「日本」を世界に発信する人がいないのです。この情況を何とかしなければなりません。

 私は長らく、インターネット上で日本語と英語の双方同時に発信する、鮮度の高い情報を国際共有する大切さ、必要性を主張してきました。いくつかの大学など各国の研究機関とも、そうした可能性を相談してきました。

 今回、日本ビジネスプレスから「日英デュアル情報サイト」を立ち上げようという企画の提案を受けました。今まさに日本と世界が必要としている情報メディアが生まれつつあることを知って、大変嬉しく思いました。喜んで参加することにしたわけです。

世界が日本をどう見ているか、まず己を知ることから始めよう

 1月3日の読売新聞第1面で、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン米プリンストン大学教授が「日本は2等国のトップ」と明言しています。

 このような言い振りを載せたのは読売新聞の英断でしょう。世界が日本をどう見ているか、「良薬は口に苦し」という面もありますが、現実を直視する日英2カ国語で国際的な認識の共有を図ることが「チェンジ」の2009年に、必要不可欠だと思います。

 こうした観点で今まで書いてきた「私のブログ」も興味ある方はぜひ訪れてみてください。

 この記事は海外向けに英語でも発信しております(この記事の英語版はこちら)。

編集協力=山田 唯人