4月16日がセウォル号の事故からちょうど1年目に当たることは知っていた。テレビ、新聞、ラジオ、ネットと、韓国のどのチャンネルでもその話題でいっぱいだったからだ。
日本が2011年の東日本大震災をきっかけに「安全」に対する考え方が変わったように、韓国ではセウォル号事故をきっかけに韓国人の「安全」に関する考え方が変わった。
政府はセウォル号の事故から1周年を迎え、16日にソウルで「第1回国民安全の日、国民安全決議大会」を開催した。国民安全処が主催したこの行事には、安全処処長と道路交通公団、国防部、海洋救助隊など1000人あまりが出席した。
だが、国民安全決議大会と言うわりには、会場には一般人は見当たらなかった。通常こうした行事にはネットで受けつけて一般の人たちを招待するのだが、今回はそんなことは一切なかったという。
また、行事の途中セウォル号に関しての言及はあったものの、実際セウォル号とは無関係に行われた。この日「セウォル号1周忌行事」と重なったため、政府がわざとこうした行事を画策したのではないかという非難もあった。
遺族にはもううんざり、という国民も
さて、こうしたことからも分かるように、セウォル号はまだ韓国社会に深い爪跡を残し、さらには世論を二分化しているとも言える。
セウォル号の遺族に対してはうんざりという考え方もあれば、政府が真相究明をせず、遺族たちを悪者に仕立てているという考え方の人たちもいる。
数か月前、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に事故で亡くなったタンウォン高校の制服を着て蒲鉾を食べる写真をアップし、「友だち食べちゃった」と書き込みをした人たちがいた。