毎年8月末になると富士演習場で陸上自衛隊の戦車、火砲などを大々的に展開しての実弾射撃演習、総合火力展示演習が行われる。
1. 訓練こそ軍事組織の生産活動
一般公開され万単位の人が見学に訪れるが、その日の夕方のテレビでは、今日1日で撃った弾薬の値段がいくらで、総額いくらかかった、というコメントばかり。
もったいないことを、とまでは言わないが、それに近い感情が伝わってくる。
自衛隊は、領海、領空の監視・警備、不法行動の対処や災害派遣、海外での国際貢献など重要な活動をしているが、かなりの時間を訓練に費やしている。
演習場を維持管理し周辺対策費を使い、燃料、弾薬その他訓練機材や消耗品を使っての訓練である。かつての某国の軍隊のように駐屯地で養豚したり、軍の敷地で農作物を作ったりホテル経営をしたりという具体的な物を産む生産活動はしていない。
だからと言って、自衛隊は消費するだけの組織ではない。訓練という生産活動をし、精強度、練度という製品を作っているのである。
その使用者は国民であり、いざという時、製品の良し悪し(精強度の度合い)について否応なく使わなければならない。これは出来が悪いから別のに換えてくれと言うことはできないのである。
近年予算は削られ、人件費や糧食費、計画的に買う装備などは、簡単に削ることもできず、訓練経費も昨年並みを何とか確保している。しかし目に見えない後方経費が削られている。
庁舎の維持経費などが厳しく、本来訓練に勤しむべき隊員を使って各所の修繕や駐屯地の整備などをやらせざるを得ない状況になっている。