コンピューター大手の米デルと米ヒューレット・パッカード(HP)による記憶装置(ストレージ)メーカーの買収合戦が激しくなってきた。
HP、デルより11%高い27ドルを提示
デルは8月26日、米スリーパーへの買収額をこれまでの1株18ドルから24.30ドルに引き上げたことを明らかにした。これを受け、スリーパーもデルの提案を受け入れると発表した。
それからわずか数時間後、今度はHPがデルよりも11%高い1株27ドルを提示、買収総額が18億ドルになると発表した。
デルはその後正式なコメントを出していないが、米ウォールストリート・ジャーナルは、同社のデイブ・ジョンソン上級副社長が「しばらく時間をかけてこの状況を判断する。次のステップを検討する」と話したと伝えている。
事情に詳しい関係者によると、HPはデルがさらに提示額を引き上げると見ており、HPもそれに応じるものと思われる。HPには150億ドルという手元資金があり、さらなる積み増しになんら制約を感じていないという。
HPのストレージ・ネットワーキング部門上級副社長のデーブ・ドナテッリ氏も発表資料の中で「HPは依然としてこの買収が実現可能な唯一の企業」と強気な発言をしている。
スリーパーはクラウドコンピューティング向けストレージ製品などを手がける企業。米IDCの予測によると、企業などのクラウドコンピューティングへの支出額は2009年の165億ドルから2014年には555億ドルに拡大する見込み。
HPもデルもこの分野の高い成長率を見据え、製品ラインアップを拡大したい考えだ。
とりわけスリーパーは、ストレージ大手の米EMC、米ネットアップに次いで顧客に人気のある企業と言われている。