パソコン大手の米デルと米ヒューレット・パッカード(HP)が記憶装置(ストレージ)メーカーの争奪戦を繰り広げている。HPは8月23日、デルが前週買収すると発表していた米スリーパー(3PAR)に対し、総額16億ドルの買収を提案した。
スリーパーを巡っては、デルが1株当たり18ドルの価格で買収することで合意していたが、今回HPが提示した価格はそれよりも33%高い24ドルとなる。
CEO辞任騒動のすきにDellが合意
HPのストレージ・ネットワーキング部門上級副社長のデーブ・ドナテッリ氏は、「スリーパーの株主に、より高い価値をもたらす提案だ」とし、HPはスリーパーにとって最適だと述べている。
スリーパーの製品や技術でHPのストレージ戦略を加速させ、成長速いデータセンター市場で製品ラインを強化したい考えだ。
競合相手のデルがまとめた話をHPが後からやって来て妨害した格好だが、米ウォールストリート・ジャーナルによると、これにはHP側の事情があった。
記事によると、HPもデルと同様にスリーパーと協議を行っており、7月下旬に提示額を出していた。しかしデルの動きは迅速だった。8月1日、デルはHPの金額よりも高い金額を提示。
折しもHPは、マーク・ハード前会長兼最高経営責任者(CEO)のセクシュアルハラスメント問題に絡む騒動の真っ只中。
この時、HPはデルよりも高い金額を検討していたが、迅速なアクションが起こせなかった。そのタイミングを好機とデルが一気に話をまとめた。
M&Aで他社より一歩優位に
両社が手に入れたいスリーパーとは、仮想化やクラウドコンピューティング向けストレージ製品を手がける企業。本社は米カリフォルニア州フレモントで、設立は1999年、従業員数は650人だ。