今回は身近な話題として、パソコンのデータバックアップについて考察したい。
というのも、先日、この連載の原稿を編集部の担当者に送ろうとした時である。その日は午前中からミーティング続きだった。昼過ぎに、自分のノートパソコン(移動中は、ほとんどこのパソコンを使用している)を立ち上げようとしたところ、異常に気がついた。
パソコンが立ち上がらないのである。いつまで経っても画面は真っ暗なままだ。光の一筋も見えない状態である。「ガーン」と殴られたようなショックを受け、頭の中が真っ白になってしまった。
今日、締め切りの原稿が! セミナー用のパワーポイントの資料が! 社員の賞与の算定表が! まずは編集部に連絡して、締め切りを1日伸ばしてもらうことにした。
事情を理解してもらい、ほっとしたのだが、1日以内に何とかしなければならない。
使っていたパソコンは、ビジネス用途としては今一番人気のある機種だ。「落としても壊れない」「水をこぼしても大丈夫」など、頑丈さを全面的に打ち出しているPCである。「このパソコンなら、ちょっとやそっとのことでは壊れないだろう」という過信があったのも事実だ。
驚くほど安くなったハードディスク
早速、メーカーのカスタマーセンターに電話をかけてみた。すると、「秋葉原に受付センターがあります。本日の午後2時までにそこに持ち込んでもらえたら、18時には復旧できるかもしれません」という。そこで、その日のすべての予定をキャンセルして秋葉原に出向き、パソコンを持ち込んだ。
その結果、マザーボードに異常があることが分かった。幸いにして迅速に修理してもらい、翌日の午前中に受け取ることができた。
修理してもらったPCを受け取り、帰りに何気なく秋葉原のパソコンショップに立ち寄ってみた。
店内では、「『バックアップしているはず』『リカバリーできるはず』は危険です」「データは定期的にバックアップを!」という張り紙の下に、外付けのハードディスクが売られていた。
値段を見て、我が目を疑った。1.5TB(テラバイト)で「1万2000円」とある。一昔前は、1TBは1億円と言われた時代もあった。今や、1万分の1の値段で買えるのである。すぐさま購入したのは言うまでもない。
同時に、同じ型のノートパソコンがキャンペーンで安くなっていたので、「データ紛失・消失・破損」の恐怖から思わず購入してしまった。
失われたドキュメントをもう一度作る時間をコストに換算すると、極めて高価なものになるのは、どんな経営者も一緒であろう。
バックアップソフトで手間いらずの管理を
その夜は、たまたま知り合いの経営者たちとの情報交換会があった。食事をしながら今回の件について話をしたら、ほとんどの経営者が実は同じようなことを体験していた。