「がむしゃらに頑張ったら成果を出せる時代は終わった」と語る太田肇氏

 

 軍隊で絶対に司令官にしてはいけないのは、無能だがやる気のある人間だと言われる。理由は言うまでもない。引くことを知らずに無謀な突撃を繰り返し、部下の兵隊を大勢殺すからだ。

『がんばると迷惑な人』(太田肇著、新潮社、778円、税込み)

 これは会社でも同様だと言える。やる気と押しの強さだけでのし上がった上司が、やみくもに突撃ラッパを吹き鳴らす。なんの戦略もない中、部下たちはひたすら頑張って長時間働くことを強いられる。しかし、まったく成果はあがらず、その部署は屍の山となる。

 同志社大学政策学部教授、太田肇氏は、著書『がんばると迷惑な人』(新潮社)において、いま、日本の会社でそうした状況が増えていることを指摘する。

 戦後の日本経済の発展が日本人の「頑張り」に支えられたきたことは事実だ。しかし現在、頑張りは通用しなくなってきた。むしろ組織や社会のなかで“頑張り病”が蔓延し、害をまき散らしている。太田氏は、頑張ることはもはや迷惑なのだという。

 「頑張る」ことにはどんな弊害があるのか。また、部門を預かるマネジャーが部下を頑張らせないために、どんな手を打てばいいのか。太田氏に話を聞いた。

努力の「量」ではなく「質」が求められる時代に

──なかなか刺激的なタイトルですね。このタイトルを見てどきりとする人が多いのではないでしょうか。どのようなきっかけで本書を執筆されたのですか?