2015年1月、ロシア国防省は定例の幹部会議を開催し、今後の軍事政策を国防省や参謀総長が語った。

 この中で注目されるのが、空軍と航空宇宙防衛部隊(VVKO)を年内に合併し、新たに「航空宇宙軍」を創設すると発表されたことである。

狙いは防空体制の合理化

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ミグ31戦闘機2機に給油するロシアのイリューシン78空中給油機〔AFPBB News

 このような話は以前から存在していたのだが空軍は消極的で、2014年に合併話が持ち上がると、一度は打ち消したものの、今度は「2016年に合併があり得る」と空軍総司令官が発言する等、いまひとつ歯切れが悪かった。

 ところがそれが一転、予定を前倒しにして2015年中に合併される運びとなったわけだ。合併の時期は明らかにされていないが、ロシア軍の組織改編は12月1日の冬季訓練期間開始にタイミングを合わせることが多く、これから秋頃にかけて本格的な作業が始まるものと思われる。

 問題はその背景である。

 第1に考えられるのは防空体制の合理化だ。

 冷戦後のロシアは、人工衛星の打ち上げや管制、弾道ミサイルの警戒などを担当する宇宙部隊(KV)という組織を保有していた。ここに空軍の重要拠点防空部隊を編入して2012年に設立されたのがVVKOである。

 しかし、防空は本来、空軍の任務であって、VVKOも防空を担うというのでは重複である。