9月19日から25日かけて、ロシア軍はシベリアおよび極東を含む東部軍管区において、「ヴォストーク(東方)2014」演習を実施した。

4年ぶりりの大演習

ロシア最新型のヘリコプター、Mi-8AMTSh

 ロシア軍は東部、中央、西部、南部の4つの軍管区に分かれて編成されているが、2009年以降、これらの軍管区は毎年持ち回りで大規模演習を実施しており(昨年は西部軍管区で「ザーパド(西方)2013」演習が行われた)、今年は東部軍管区の順番が回って来たわけである。

 したがって、前回の「ヴォストーク2010」演習から数えると4年ぶりの大演習だ。

 今回の演習にはサハリン、カムチャッカ、沿海州等の20カ所もの演習場が使用され、人員10万人以上、戦車1500両、航空機120機、その他の装備品5000点、艦艇約70隻が動員された。

 さらに演習終了後、ショイグ国防相が述べたところによると、ヴォストーク2014の総動員兵力は人員15万5000人、装備品8000点(うち、装甲車両4000両)、航空機632機、艦艇84隻にも及んだという。当初の発表よりも規模が大幅に大規模化している理由は不明だ。

復活した大規模戦争型演習

 今回、本稿でこの大演習を取り上げるのは、いくつかの興味深い点が含まれるためである。

 第1に、前回のヴォストーク2010演習では動員兵力が人員約2万人、装備品約2500点、航空機約70機、艦船約30隻などとなっており、規模が格段に大きくなっている。

 また、最近のロシア軍はもはや西側との大規模戦争など起こり得ないとの前提に立ち、戦車などを大規模に動員する演習よりも小規模部隊による作戦を重視した演習を主としてきた。

 例えば前述のザーパド2013では、ロシア軍とベラルーシ軍合わせても戦車は100両未満に過ぎなかった。

 しかし、今回のヴォストーク2014では厖大な数の装甲車両を投入している。