世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェイスブック(Facebook)」が新たに始めたサービスを巡って波紋が広がっている。
8月18日、同社は米アップルの「アイフォーン(iPhone)」などのGPS機能を備えるスマートフォン向けに、ユーザーの現在位置情報を知人などに知らせる「プレイシーズ(Places)」を開始した。
このサービス、例えばユーザーが催し物や旅行などに出かけ現地でこの機能をオン(チェックイン)にしておくと、自分の居場所をほかのユーザーに知らせることができる。同時に友人が近くにいることも分かる。
何かのイベントに出かけ実は友人も会場にいた、ということが後で分かることがあるが、このサービスを利用すればリアルタイムに情報が得られ、その場で合流できるとフェイスブックは説明している。
用意されない「拒否」ボタン
問題となっているのは、ユーザーがチェックインした後、一緒にいる友人に「タグ」と呼ぶ印を付けてその友人にもチェックインを促す機能だ。
このタグを付けられた友人にはそのことが知らされ、画面上で「許可」ボタンを押すとその友人もチェックインするという仕組み。つまりこの許可ボタンは、友人が自分をチェックインさせてしまうボタンというわけなのだ。
この時に表示されるボタンは「許可」のほか「あとで決める」の2つのみ。ここに明確な「拒否」ボタンが用意されていないことが大きな問題だと今騒動になっている。もし拒否したい場合は、詳細ページに移動して複雑な設定をしなければならない。
また米ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、何もボタン操作をしなかった場合、つまりユーザーがお知らせを見過ごした場合など、標準の設定では情報が共有されることになっているという。
行ってもいない場所に自分がいる
このタグ付けについてはもう1つの懸念も広がっている。それは、ユーザーはその場にいなくても友人にタグ付けされてしまうということ。
フェイスブックのWebサイトにある説明によると、「あなたがある場所を訪れたという情報や、どこでタグ付けされたかという情報は友人にしか見えません」とある。