本記事は12月1日付フィスコ企業調査レポート(スターティア)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
浅川 裕之
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新中計の達成とその後の成長に向けて、“ギアチェンジ”中

 スターティア<3393>は従業員数300人以下の中堅・中小企業に、インターネット関連サービスをトータルで提供することを事業としている。ネットワーク機器の販売やレンタルサーバの事業はもちろん、ビジネスフォンや多機能プリンタなどの伝統的ながらもオフィスに不可欠な機器類も扱う。また、子会社が開発した電子ブック作成ソフト「ActiBook」やARサービスの「COCOAR」は、高い成長ポテンシャルを秘めている。

 同社の現況を一言で表現すると「ギアチェンジ中」と言えるであろう。企業なので自動車のように瞬間的にはいかない。2014年3月期までの同社は、どちらかと言えば営業力に軸足を置いて成長を実現してきた。それを、強い営業力はそのままに、成長シナリオ実現のための裏付けとなる技術力や設備の強化、及び人材確保に取り組んでいるのが今2015年3月期だ。ギアチェンジのための先行投資負担ゆえに業績的には横ばい圏となるが、今上期に実のある投資を実行できたと弊社では評価している。

 今期で“ギアチェンジ=先行投資”を計画どおり完了させることができれば、来2016年3月期以降は再び利益2ケタ成長の基本線へと戻ってくると弊社ではみている。8月に発表された新中計の利益計画では、中計期間における経常利益の年平均成長率を17.8%と想定している。「ActiBook」とそのファミリー製品を始め、同社の製品・サービスは、爆発力を秘めたものも多く、中計で掲げられた利益計画は、大幅超過で着地する可能性も十分にあると弊社ではみている。

Check Point

●粗利益の拡大などで各利益項目とも計画を上回る
●配当性向を10%から15%に引き上げ
●利益計画に2017年3月期を追加、2年目と3年目に2ケタ成長を見込む

事業の概要

ビジネスフォンの販売から事業領域を拡大、現在は3事業部門に

(1)事業部門の内訳

 同社は1996年に、現・代表取締役社長兼CEOの本郷秀之(ほんごうひでゆき)氏により設立された。競合が少ない従業員300人未満の企業にトータルなIT環境を提案し、企業間のデジタルデバイド解消とITを活用した繁栄実現をサポートすることを主たる事業目的としている。当初はビジネスフォンの販売からスタートしたが、その後ホスティングサービスなど、事業領域を拡大し、現在では以下の3事業部門から成っている。

●ウェブソリューション関連事業

 この事業ではWebサイトの受託制作、保守・運営、Webアプリケーションの企画・開発・販売などを手掛けているが、現在では電子ブック作成ソフト「ActiBook」の開発、販売の貢献が大きくなっている。ActiBookは大手印刷・出版社を始め、様々な業態の大企業中心に導入が進んでいる。最近では、ActiBookに加えて「COCOAR」も売り上げを伸ばしている。これはAR(拡張現実)技術を活用するためのソフトウェアだ。広告手法として注目が高まっている。ActiBookやCOCOARの開発・販売は、100%子会社のスターティアラボ(株)が担当している。