11月から12月にかけて「特攻」「学徒出陣」そして「きけわだつみのこえ」に関わる行事を毎週のように開きます。演奏もいくつかありますので、今回はそのご紹介から始めましょう。

 まず、恒例の哲学熟議、12月7日の日曜日、今年で5回目になりますが「学徒出陣と大学の戦争協力」をテーマに開催いたします。

 今回は慶応義塾大学の白井厚先生に、学徒出陣のお話を伺い、パネルトークで議論するとともに、東京新聞などでも広く告知されました「きけわだつみのこえ」など今年後半私が書き始めた戦没学徒のテクストによる歌の演奏を伴う哲学熟議を考えています。この方は戦没学徒ではありませんが、1949年に藤谷多喜雄さんが詠まれた和歌

なげけるか いかれるか はたもだせるか きけはてしない わだつみのこえ

 から作ったをはじめ、田辺利宏、松永茂雄、木村久夫ら、戦地で命を失った人々の絶筆から 70年を経てではありますが、私が作った歌を(東大の一般教室ですので電子ピアノなど持ち込んで私が伴奏を弾きますが)演奏いたしますので、どうそお運び下さい。

 東京大学が公益性をもって行う事業ですので、入場料は申し受けません。毎回の哲学熟議同様ですが 電子メールアドレス gakugeigu@yahoo.co.jpあて、お名前、ご連絡先を明記してお申し込み下さい。1本のメールで原則2人まで受け付けます。電子メールでのお申し込みに、e-ticketmailのご返信をお送りします。

 ネット上でいろいろご意見を頂くことがありますが、私の演奏や音楽をご存じないという方からのご意見にはお答えのしようがありません。大学での演奏は完全に持ち出しですが、こういうフリーの場も設けますので、どうぞお運び下さい。

わだつみ会との「特攻」コラボレーション

 正直私が我慢ならないことがあります。それは、出世学徒などで命を落とした人や特攻で命を落とした人を「軍神扱い」などして祭り上げるような傾向です。

 私の父は東京帝国大学経済学部1年次在学中、徴兵によって軍務につき、帝大生でしたので将校となる可能性もありましたが、自ら試験を受けず、関東軍所属の二等卒として関東軍に配属、満州で軍務に就きました。

 終戦で隊全体が敗走、ソ連軍に逮捕され、戦争犯罪人としてシベリア抑留され、強制収容所で4年にわたる労働に従事するという敗戦後を生きました。

 早世した父が亡くなってすでに42年が経過していますが、東大で同学年だった三島由紀夫の自殺は「兵隊ごっこ」と完全に軽蔑し切っていたのを、子供心に良く覚えています。

 「馬鹿」

 この一言が同じ大学で学びながら、徴兵検査に合格してしまったがゆえに戦地に配属され、幾多の戦友の凄まじい最期を共にしつつ、自分は生きて復員してきた私の父の目に映った、兵役につくことなく戦後自ら進んであれこれ主張し行動した三島こと平岡公威への、過不足ない評価でした。