サムスングループは、オーナーがいるグループと言われる。だが、李健熙(イ・ゴンヒ=1942年生)会長などオーナー一族が、グループ企業の株式をすべて保有しているわけではもちろんない。
オーナー会長や子供たちは、非上場の第一毛織の株式を多く保有する。第一毛織がサムスン生命保険の大株主で、サムスン生命保険がサムスン電子の大株主という支配構造なのだ。
グループの頂点にある企業が第一毛織だが、この企業も上場することになったのだ。第一毛織の場合は、サムスンカード、サムスンSDIなどが保有する株式に加え、新株を発行して売却する。
レジャー施設や不動産管理、ファッション衣料などを手がける第一毛織の2013年の売上高は3兆2261億ウォン、営業利益は1111億ウォン。上場後の時価総額は10兆ウォン前後に達すると見られている。
経営権・財産継承のための資金確保も目的
一般的に企業が上場する際には、いろいろな目的がある。事業投資資金の確保、知名度の向上、人材確保――。
この2社についても、事業投資資金の確保という狙いがないわけではない。
ただ、韓国のメディアや証券市場は、これとは違った目的があると見ている。
その目的とは、オーナー家の経営権、財産継承のための資金確保だ。
2つの会社は、同じサムスングループの有力非上場企業という共通点があるが、もう1つの共通点もある。李健熙会長の子供たちが大株主であるという点だ。
サムスンSDSの場合、会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)サムスン電子副会長が11.25%、長女である李富真(イ・ブジン=1970年生)ホテル新羅社長と次女である李敍顯(イ・ソヒョン=1973年生)第一毛織ファッション部門社長がそれぞれ3.9%ずつ株式を保有している。