本記事はLongine(ロンジン)発行の2014年9月15日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 笹島 勝人
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投資家に伝えたい3つのポイント

●メガバンク株のカイ離は、TOPIXが連動する為替との間でも広がっています。
●再び2006-2007年を振り返ると、メガバンク株は円安の最中にピークアウトするいっぽう、TOPIXはその後円安とともに上昇しました。
●メガバンクにとって株高は好環境です。しかしTOPIX・為替との決別は、「円安=株高」シナリオ頼りの限界と、脱落するセクターの存在を示しているのかもしれません。

メガバンク株がカイ離しているのはTOPIXだけではない

前回のレポート、【当らないといいなと思う私の感じる銀行株にみる”イヤな感じ” 】では、株式市場全体つまりTOPIXは好調なのに、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)といったメガバンク株は低調で、明暗が分かれていることを取り上げました。加えて、2006-2007年にメガバンク株がTOPIXに先だって失速したことに重ね合わせ、”イヤな感じ”として紹介しました。今回は、”イヤな感じ”を持った他の事象も紹介したいと思います。

為替との連動性がなくなった

2014年に入って、メガバンク株の重要な株価特性が失われたようです。メガバンク株は長い間、ドル/円レートつまり為替と高い連動性がありました。連動性があるというレベルではなく、細かくみてもボトムとピークが殆ど同じです。メガバンク株への投資を考えることは、FX(外国為替証拠金取引)など外国為替の売買を考えることと、あまり変わらない状況が続いていたことになります。敏感さの点では相関係数を計算すると、時に自動車や電機など外需関連を上回っていました。しかし図表1をみると、2014年に入ってメガバンク株と為替は別れを告げ、あたかも別々の道を歩んでいるように見えます。

出所:SPEEDA、日本銀行資料をもとに筆者作成