先週の米国株式市場
―エボラ感染拡大懸念や経済指標悪化で下落も週末に反発―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は下落しました。週の半ばまでエボラ出血熱の感染拡大問題が嫌気されたほか、9月の小売売上高が市場予想を下回る冴えない結果だったことから大きく売られました。

ただ、週末にかけては欧州市場が金融緩和期待で大きく反発したことに加え、ミシガン大学消費者信頼感指数や住宅着工件数が市場予想を上回ったことで米国経済への安心感が広がり、米国市場も大きく反発しました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用銘柄の30銘柄中上昇は8銘柄にとどまりました。ユナイテッド・ヘルス・グループ(UNH)は7―9月期の決算が増収増益で1株利益がアナリスト予想を上回ったことから買われ、3%超上昇しました。

<下落>

大型店の出店を減らすと伝わったウォルマート(WMT)は5%超の下落。決算発表で業績の改善は見られたものの、物足りないと受け取られたJPモルガン(JPM)は4%の下落、同じく決算発表を行ったゴールドマン・サックス(GS)も2%安と冴えない値動きとなりました。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(前月比) 9月 -0.3% 市場予想 -0.1% 前月 +0.6%
小売売上高(除く自動車・ガソリン) 9月 -0.1% 市場予想 +0.4% 前月 +0.5%

15日に発表された9月の小売売上高は冴えない結果となりました。ヘッドラインが前月比-0.3%と市場予想を下回るとともに、特に重視される自動車とガソリンを除いた売上高も市場予想も0.1%の減少となりました。

1つの指標の単月の動きを見て米国経済に過度に悲観的になる必要は本来ありませんが、IMFによる世界経済の成長予測が下方修正されていたところに、米国経済の根幹をなす個人消費の関連指標が悪化したことで、米国経済の鈍化懸念から株式市場は大きく下落しました。


今後発表される主な経済指標

21日 9月中古住宅販売件数 市場予想 510万件 前月 505万件
24日 9月新築住宅販売件数 市場予想 47.0万件 前月 50.4万件
※いずれも年率換算・季節調整済

今週は住宅関連指標の発表が多く、21日には中古住宅販売件数、24日には新築住宅販売件数が発表されます。
先週の米国株式市場は、経済指標に大きく反応する日が目立っており、今週の住宅関連指標にも注目が集まりそうです。
中古住宅は前月からの増加が予想されていますが、新築住宅販売件数は前月の伸びが非常に大きかったことから小幅に減少することが予想されています。


マーケットビュー
―エボラ出血熱問題には要警戒も買い向かえる局面か―

先週のマーケットビューでは、どこが大底は誰にもわからないが、長期的に見ると買い下がって良い局面ではないかと書きました。米国市場は週の半ばまで下落を続けたものの、週末にかけて発表された経済指標が良好な内容だったことから金曜日は大きく反発しました。エボラ出血熱の感染拡大問題など、先行き不透明な問題が残っていることから油断はできませんが、ひとまず市場には一旦安心感が広がり、落ち着きを取り戻しつつあるようです。

相場の乱高下に隠れてあまり取り沙汰されてはいませんが、米国企業の決算発表が本格化しています。トムソン・ロイターの17日時点の集計によれば、S&P500に採用されている企業の3Qの増益率は6.9%が予想されており、前週時点の6.5%から上方修正されています。これは企業決算が堅調に推移していることを意味しています。

エボラ出血熱問題は予断を許しませんが、企業業績は堅調で米国経済も引き続き好調な推移を続けていると考えられます。マーケットがオーバーシュートして売られすぎた感があることからも、着実に買い向かえる場面ではないでしょうか。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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