脱原発の“不都合な真実”:ドイツの実態に目を向けよ

偏向した情報を伝える日本の報道、議論すべきは最善のエネルギーミックス

2014.08.20(水) 川口マーン 惠美
    http://goo.gl/4r4uPv
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 今、私たちが論じなければいけないのは、原発が好きか、嫌いかという話ではない。原発を稼働させるか、させないかの選択は、日本という国が生き延びることができるか、できないかの選択だ。

 原発を全部なくせという人は、国を見ていない。エネルギー問題は、そもそも国家の安全保障にかかわる問題なのだ。

 すべてを輸入に頼り切り、しかも、莫大な国富を費やしていたら、日本はどんどん疲弊していく。国際情勢の不安定な昨今、石油やガスの供給国の現状を思うと、いつ止まるか、いつ価格が高騰するかと恐ろしくなる。

 疲弊した国は、国民の生命も、財産も、人権も守れなくなる。繰り返すようだが、好きか、嫌いかなどという問題ではないのだ。次の世代の人たちに、疲弊した国を残すわけにはいかない。子供や孫にも、今の私たちと同じように豊かに暮らしてほしいというのは、皆の願いではないだろうか。

 そのためには、対立ではなく、一致協力しなければならない。皆で、冷静に知恵を絞り、今の時点で可能な、最善のエネルギーミックスを模索すべきだ。

 原発の安全性を高めて、確認のできた原発は適宜動かし、産業を健全に回しながら、再エネ技術を鋭意開発すればよい。そして、無理なく、確実に再エネに移行していくのが、一番良い方法だと思う。

 今のままでは、火力のせいで空気は汚れ、燃料輸入費のせいで国富が失われ、再エネの補助金のせいで電気代は上がる。日本は確実に疲弊する。「手術は成功しました。でも、患者は死にました」という話がある。これが私には、「原発稼働は駆逐しました。でも、日本は亡びました」と聞こえる。それは、とても愚かなことである。

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川口マーン 惠美 Emi Kawaguchi-Mahn

 

大阪生まれ。日本大学芸術学部音楽学科卒業。

85年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。シュトゥットガルト在住。

 

90年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓。その鋭い批判精神が高く評価される。『国際結婚ナイショ話』、『ドレスデン逍遥』(ともに草思社)、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)など著書多数。最新刊『サービスできないドイツ人、主張できない日本人』(草思社)好評発売中。ドイツから見た日本、世界をレポートする。

 

2011年4月より、拓殖大学 日本文化研究所 客員教授

欧州

欧州は観光ばかりでなく農業や地方の活性化、また少子高齢化対策などでも日本が学ぶべき点が多い。日本が課題とするこうした点を欧州ではどのように克服しようとしているのかの実例をお送りする。また、欧州で高く評価される日本の芸術・文化などのソフトパワーについてレポートする。

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