誰しも同じ分野や同じ会社で仕事を続けていれば、できることは大体やり尽くしたと感じるときがくる。成長から円熟を迎え、このまま行けば停滞が待っている時だ。学生から社会人になって、20年ほど経った40~50代で、そんな時期が訪れることが多い。

いずれくる、人生折り返し地点での決断

 外資系でも同じだ。働き始めのうちはこの世界で生き残っていくために、必死に頑張る。その後は、ビジネスパーソンとしての基礎の上に、仕事の進め方、身のこなしを覚え、要職に就く。そして、自分のアイデアや考えを加えて、目に見える成果を出す。自信がつき、満足感を味わう。

 すると、自信がついて目先の心配がなくなり、客観的に物事が見え始める。外資系でいつまでも自分のためだけに働いていいのかという自問。売り上げ、利益という無味乾燥な目的のために働き続けることも容易ではない。

 会社を替えても、結局やることは似たようなものだ。要職に就けば、社内政治にも無関係でいられず、辟易することも多い。

 そして、何か他にもっとできることがあるのではないか、社会にも貢献したい、日本人として生まれてきたのだから日本のためにできることはないか、などの新たな思いが加わる。

 こうした疑問を押し殺して、生活のためそのまま働くことも可能だ。でも、自分の能力で生きていけるというそれなりの自信と、若干の金銭的余裕があれば選択肢は広がる。

人生80年という時代の選択

 今や人生80年超。現在、40歳以上の人の平均寿命はそれ以上だ。元気な間、やりがいのあることに携わりたいなら、40代半ばの人も70代半ばまで、あと三十余年の時間がある。そうすると、60歳定年という典型的なパターンとは異なった人生の組み立ても見えてくる。

 人生を4つの時代に分けてみる。第1は社会に出る準備をする学生時代。第2は能力をつけて社会で生きていけるように自分を確立する時代。第3は純粋に自らの人生観に基づきやるべきことをやる自己実現の時代。第4は人生の終わりに向けて過ごす時代だ。

 第2と第3を同じ仕事で達成できる人は幸運だ。自分で生きてきた人や、会社と自分の考えが一致している人だ。そうでなければ、第2から第3へ移行することになる。徐々に変化させる人もいるだろうし、大きな方向転換を図る人もいるだろう。第3がない人もいる。