米アップルや米アマゾン・ドットコムの電子書籍事業を巡る商慣行は市場競争を阻害している恐れがあるとして、米コネティカット州のリチャード・ブルメンタル司法長官は8月2日、同州が調査を進めていることを明らかにした。
7月29日付けで両社に送った書簡で、同氏と面会し詳細を説明するよう要請している。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、テキサス州も同様の調査を始めており、コネティカットの調査はこれに続くものとなる。
また米司法省がアップルの音楽事業やアイフォーン用アプリケーションの商慣行について調査を始めているが、同省はその範囲を電子書籍の分野にまで広げており、その一環としてアマゾンも調査対象に入れているという。
アマゾンの販売価格に出版社が反発
コネティカット州が問題視しているのは、両社がそれぞれ米国の大手出版社5社と結んでいる書籍コンテンツの売買契約。司法長官の懸念の発端となったのは3月17日付のニューヨーク・タイムズの記事だ。
この記事では、アップルが米国大手6社の出版社のうち、5社と電子書籍コンテンツの売買契約を結んだことを取り上げている。
アップルが結んだのは、出版社が自由に小売価格を決定し、出版社が売り上げの70%を、小売業者であるアップルが30%を得るという「販売代理店モデル」の契約。
これに対し、アマゾンが以前5社と結んでいた契約は、アマゾンが自由に価格を決められる「卸売りモデル」。ただ、5社はかねてアマゾンの販売価格に反対していた。
アマゾンが電子書籍リーダー端末「キンドル(Kindle)」の販促目的で、9.99ドル以下という赤字覚悟の価格でコンテンツを販売していたことが、出版社の利益を圧迫していたからだ。