米大統領、ロシアに国際監視団への参加など要求 ウクライナ情勢

原油輸出を許可したバラク・オバマ大統領〔AFPBB News

 米国がエネルギー戦略をゆっくりとシフトさせている。

 バラク・オバマ政権は先週、ほぼ40年ぶりに米国産の原油を輸出する許可を出した。1975年に米企業による原油輸出が禁止されて以来、初めてのことである。

 今になってなぜオバマ政権は原油の輸出に踏み切ったのか。その背景と今後の狙いを探りたい。

2020年までにサウジアラビアを抜く産油国に

 オバマ大統領は今年1月の一般教書演説で、「エネルギーの独立(インディペンデンス)を目指している」と述べた。福島の原発事故以来、米国も原子力発電には消極的になり、エネルギー独立という意味は自然再生エネルギーへの依存強化に見えたが、必ずしもそうではない。

 実は米国の原油産出量は、既に輸入量を上回るレベルに達しているのだ。

 米エネルギー省情報局(EIA)の発表によると、2013年10月時点で、1日当たりの原油輸入量は750万バレルであるのに対し、産出量は780万バレルである。原油をほとんど産出しない日本にとっては羨ましい限りだ。

 背景にはシェール革命によるシェールオイル・ガスの生産量の急増がある。何しろ国際エネルギー機関(IEA)の見通しでは、米国の原油産出量は2020年までに原油大国のサウジアラビアを抜くというのだ。

 原油と言っても様々に分類されている。比重の重い順に、超重質、重質、中質、軽質、そして超軽質と分かれている。米国で生産量が急増しているのが、軽質と超軽質の原油で、2011年以来96%も増えている。と言うのも、シェールオイルは軽質と超軽質に入るからだ。

 増えるだけならいいが、既に余剰を生みだして価格低下を招いている。生産過剰により、例えば天然ガスの価格は2008年のピーク時から3割も値崩れしている。

 いくらシェール革命といえども、供給過剰では体力のない会社は潰れてしまう。シェールオイル・ガスを扱っていたオクラホマ州に本社を置くGMXリソーシズは2013年4月に破綻している。